夕暮れの桜

 外は冬のようで天気は荒れ模様だった。自宅兼事務所にこもってひたすら作業の段取りや栽培計画を練った。しかし天気の具合や田んぼの状態や隣の田んぼとの兼ね合いや用水路の水量等々流動的な要因が多く一向に煮詰まらない。夕暮れ時、気分転換を兼ねて田んぼの方へ向けて車を走らせた。ちょうど夕日が雲の間から顔を覗かせていたので途中車から降りて沢池の畔に佇む桜を眺めた。風が強くて冷たくてとても寒かったが風情があった。時々車は通るものの人の姿はほとんどなかった。それでも私と同じように時折車やバイクから降りて桜にカメラを向ける人がいた。自然は移ろう、風景もまた一瞬一瞬その表情を変える。